医師の開業には、テナントで開くクリニックでも数千万円〜1億円ほどの資金がかかるといわれます。そのかわり、院長の平均年収は勤務医より高くなっています。

第25回医療経済実態調査によると、医療法人の一般診療所(無床)の院長の平均年収は2,872万円、一般病院の医師の平均年収は1,485万円でした(どちらも2024年度)。

この記事では、公的な数字から開業の損得を見たうえで、開業資金の考え方と準備の順番をまとめます。

この記事でわかること

  • 開業医と勤務医の年収の差(公的な調査の数字)
  • 開業資金の内訳と、自分で計算する方法
  • 開業資金の借り方(日本政策金融公庫など)
  • 開業の前にやること・相談先
目次9項目・タップで開く
  1. 結論:開業医の年収は高い。ただし借入と経営の責任がつく
  2. 開業資金は、何にいくらかかる?
  3. 開業資金の借り方
  4. あなたはどれ?開業までの距離
  5. 開業の前に、お金の全体を相談する
  6. 開業医と勤務医、どちらがいい?
  7. 開業までの準備の順番
  8. よくある質問
  9. 開業は「年収2倍」と「数千万円の借入」をセットで考える

01結論:開業医の年収は高い。ただし借入と経営の責任がつく

平均年収(2024年度)
医療法人の一般診療所の院長(無床)2,872万円
医療法人の一般診療所の院長(有床)3,232万円
一般病院の医師1,485万円
一般病院の院長(医療法人)2,900万円
一般病院の院長(国立)1,891万円

※中医協の資料「第25回医療経済実態調査の結果に対する見解」(健康保険組合連合会、2025年12月3日)に載っている、医療経済実態調査の数字です。

開業医の年収は勤務医のおよそ2倍ですが、これは借入の返済や、経営がうまくいかなかったときの責任を背負ったうえでの数字です。

02開業資金は、何にいくらかかる?

開業資金は、大きく「設備のお金」と「開業してから収入が安定するまでのお金(運転資金)」に分かれます。

費目かかるもの例(編集部の仮の数字)
物件テナントの保証金・仲介手数料500万円
内装工事診察室・待合・処置室の工事2,000万円
医療機器診療科による(画像・内視鏡など)2,000万円
電子カルテ・レセコン・什器受付・事務の設備500万円
広告・採用ホームページ・看板・職員の採用300万円
運転資金開業から数か月分の人件費・家賃など2,000万円
合計7,300万円

※金額は、計算のしかたを示すための仮の数字です。診療科・立地・広さで大きく変わります。医療機器メーカーのPHCは、一般的な内科のテナント開業の例で開業資金の合計を8,660万円とし、自己資金は開業資金の2割、最低でも1割を用意するとよい、としています。

みりたま
仮の数字でも、こんなにかかるんだね。
そうた
だから、自分の科と地域で見積もりを取って、計算をやり直すのが大事なんだ。

03開業資金の借り方

開業資金は、自己資金に借入を組み合わせるのが一般的です。

  • 日本政策金融公庫:「新規開業・スタートアップ支援資金」の融資限度額は7,200万円。返済期間は設備資金20年以内、運転資金10年以内です(公庫の公式ページ)。
  • 民間の銀行・医師向けの金融機関:開業の計画書をもとに相談します。
  • リース:医療機器は、買わずにリースにする方法もあります。

04あなたはどれ?開業までの距離

あなたの状況今やること
いつか開業したい(専攻医・若手)専門医を取る。開業したい地域のクリニックで非常勤をして、患者層と運営を中から見る
3〜5年以内に開業したい自己資金を貯める。お金の全体(保険・税金・運用)を一度見直す
1〜2年以内に開業したい物件・診療圏の調査、事業計画、融資の相談、職員の採用の準備

開業前に地域のクリニックで外来を経験するなら、定期の非常勤の求人が役に立ちます(医師の非常勤の相場)。

05開業の前に、お金の全体を相談する

開業は、借入・保険・税金・家族のお金が一度に動きます。自己資金をいくら用意するか、今の保険をどうするかを決めるには、お金の全体を見てもらうのが早いです。

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医師に要る保険の考え方は医師に要る保険にまとめています。

06開業医と勤務医、どちらがいい?

開業医勤務医
年収(平均)医療法人の診療所の院長 2,872万円(無床)一般病院の医師 1,485万円
お金のリスク借入の返済・経営の赤字少ない(給与)
働き方診療時間を自分で決められる。経営の仕事が増える病院の体制の中で働く。当直がある
向く人理想の診療を自分の地域で続けたい人高度な医療・チームでの診療を続けたい人

※年収は第25回医療経済実態調査(2024年度)の平均です。

07開業までの準備の順番

  1. 開業する診療科と地域を決める
  2. 診療圏の調査(人口・競合のクリニック)
  3. 物件探し(テナント・戸建て・医療モール)
  4. 事業計画(売上・費用・借入の返済)
  5. 資金の調達(自己資金・融資・リース)
  6. 内装・医療機器・電子カルテの手配
  7. 職員の採用・届出(保健所・厚生局)

※一般的な順番です。実際の手続きは、開業する地域の保健所・地方厚生局の案内で確かめてください。

08よくある質問

いつ開業を考え始めればいい?

専門医を取り、勤務医として経験を積んでから開業する医師が多いです。開業の1〜2年前には、物件・資金・職員の準備を始めます。

自己資金はいくら要る?

PHCは、開業資金の2割、最低でも1割を用意するとよいとしています。開業資金が8,000万円なら、800万〜1,600万円が目安です。

開業前に非常勤をするといい?

開業したい地域のクリニックで外来をすると、患者層・職員の動き・運営を中から見られます(医師の非常勤の相場)。

まとめ開業は「年収2倍」と「数千万円の借入」をセットで考える

医療法人の診療所の院長の平均年収は2,872万円(無床)で、勤務医の約2倍です。ただし開業には数千万円〜1億円ほどの資金がかかります。自分の科と地域で資金を計算し直し、お金の全体を相談してから進めてください。

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